2. モービルアイの重要指標「総警報数」

モービルアイの警報から見えてくること 注目すべき指標① 総警報数

(Japan21 COO 岸本 賢和 2019年4月8日 記)


モービルアイの警報変化を見る方法:イトラン(Ituran)

モービルアイを車両に装着しただけでは、警報の記録を取得することは出来ないのですが、イトランという通信機能を備えた装置を一緒に付けて頂くと、警報の記録を残し、解析することが出来ます。様々なレポートを通して、ドライバーさんの指導や、導入初期には効果測定に活かすことも出来ます。

このイトランという装置は、日本ではあまり有名ではないのですが、世界的にはフリートマネジメントシステムとして1000万台以上の車に装着されています。イスラエルでは、警察や軍隊でも活用されています。特に、モービルアイの警報を記録・解析する装置としては抜群の効果を発揮します。

私は入社以来、このイトランを通してモービルアイの警報数の変化を解析するのに大ハマリしています。理由は単純で、モービルアイの警報を通して、信じられない確率で、個々のドライバーさんの運転習慣が改善し、それに伴って企業全体のヒヤリハット数が減少していく様子が目に見えて分かるからです。

注目すべき指標① 総警報回数(モービルアイの5つの警報の総和)

私が最も重要視している指標は、「総警報回数」です。私は、この「総警報回数」は企業が抱えるヒヤリハットの総数(危険運転の総数)であり、事故の頻度に直結する値であると感じています。交通事故が一年の中で多かった、少なかったというのは、あくまで結果論です。結局、企業として危険運転の総数を減らせていないと、根本的な事故対策にはなりません。ドライバーさんが日常的に危険運転を繰り返している状態で、事故が少なかったとしても、それは単純に運の良い期間が続いただけで、いつか悲しい事故を起こす可能性は高いままです。悲しい事ですが、モービルアイに関するお問い合わせを頂くのは、重大な人身事故を起こした後が多いのが実情です。

総警報回数を重要視している理由がもう一つあります。それは、衝突被害軽減ブレーキに対するモービルアイの有用性や違いをお伝えする際にも役立つからです。モービルアイをご紹介した際によく、

「もう、衝突被害軽減ブレーキが付いている車が増えていきているから必要ないよ」というコメントが返ってきます。その際には、左の図を用いて、一つ質問を投げかけます。

「衝突被害軽減ブレーキで、運転習慣そのものは変わりますか?」


衝突被害軽減ブレーキは、事故を直前で回避・軽減できる可能性を高めますし、新車には必須とも言える重要な機能です。しかし、衝突被害軽減ブレーキが付いていても、運転習慣そのものを変えることは出来ませんよね。

モービルアイと衝突被害軽減ブレーキは、共存し効果を発揮すべきものだというのが私であり、弊社の営業マンの結論です。あるべき順番は、まずモービルアイのような警報装置を通して、ドライバーさんの運転習慣を最大限安全なものに改善すること。そのうえでもどうしても避けられない、危険な状況に陥ってしまった場合に、衝突被害軽減ブレーキが作動し助けてくれる。これが、完全な自動運転の時代に行き着くまでに実現しうる最も安全な事故対策であると考えています。


下記のスライドが、国内でモービルアイとイトランを導入した企業の、実際の総警報数の変化に関する事例です。どういった業種でも、大幅に企業が抱えるヒヤリハット(モービルアイ警報)の数を減少させていることが確認できます。

その他の注目すべき指標は改めて別のコラムで記載したいと思います。

2019年4月8日